『企業は人なり』
50代の私が「リクルート社」と聞いて単純に想起するものは、鏡面ガラスのビル、かもめの社章、小柄な江副氏の顔である。勿論、新聞記事や書店、テレビのCMなどで、一通り今の「リ社」について世間一般の人が持つ情報量は持っているつもりだった。が然し、この3年程4卒学生の就活に携わってきたため、文系、理系に関係なくほとんどの学生たちがいかに「リ社」に熱い関心を持っているか、又、「リクルート社」の卒業生達が、多方面に活躍の場を広げて成功しているか知り、驚きを禁じ得なかった。そして「リクルート社」に興味を持った私は本書を一気に読んだ。面白かった。なんとなればそれは、組織を論じていながら、「人」を描いているからだ。プラン、設定、遂行、評価のどの過程でも自らの行動に責任を持って動き、自らの気付きによって次の場に動いていける。自律的に動いていく者には又、得難い先達がいる。キャリアモデルにこと欠かない集団というのは、学生達には羨望の職場だ。陳腐な物言いではあるが「企業は人なり」という事だろう。著者の労作に心から拍手を送る。