『他人事。でも案外身近』
『朝に咲くまでそこにいて』です。
三作収録している短編集で、それぞれの作品には関連は無く独立しています。
三作に共通しているといえるのは、しいていえばですが、誰かを好きになってしまった女の愚かさを描いているという共通点があることでしょうか。
表題作はダ・ヴィンチ文学賞読者賞受賞作品。エンターテインメントというよりは、どちらかというと純文学寄りという感じです。
二作目は、愛する夫がカエルになってしまったという話。どこかコミカルに進みますが、最後にどんでんガエル話。ちょっと、アマチュアネット小説っぽいです。
三作目は、ストレートに恋愛ダメ女の話。
恋愛に溺れて人生を踏み外す女を見て、他人事だ、と思う女性も多いかと思います。
でも、この三作を読むと、ふとしたきっかけで、誰でもがはまりこんでしまう陥穽なのだと思います。
たとえとしては変かもしれませんが、幼い頃は、本当に愛する人と結婚するまでは大事に処女を守り通そうと決意していたのに、ある時ふと、「ああ、守れなかったんだなあ」と思うのに似ているかもしれません。