『大学生の就職、何処も大変』
余計なことかもしれないが、この著者は若い女性で、しかもブロンド美人。
途中まで、男性と思っていた。また、イェール大学を卒業してもいい職業に恵まれていなかったので、マイノリティーなのかと思った。この著者が、多くの若い世代から聞き取り調査をした現実感にあふれた報告書。
中身は、米国の大学生は、富裕層は別にして、その他は奨学金や民間の学資ローンを借り、当然安い賃金のパートタイムなりフルタイムの仕事をして大学生活の費用をやりくりする。でも、学費は大きく上昇するし、奨学金は実質目減りするし、学資ローンは金利が高いし、クレディットカードの金利はもっともっと高い。この学生時代にできた借金返済が卒業後も大変。学資ローンは自己破産しても免除にならない。
共和党時代に金持ち優遇の政策で、学生の生活はとても厳しくなった。
米国では、日本のように卒業証書を乱発しないので、若い世代でも学士号を持っている者は3割弱。
そして、現在は、アイビーカレッジを始め、名門とされる大学を卒業しても、必ずしも条件のいい就職先に就ける状況ではなくなっている。親の世代は、アルバイトで学費を稼ぎ、名門を卒業すれば概ね良い就職先に行けたが、そんな時代ではなくなった。大学に入っても卒業率は50%位なので、借金を作ってでも大学に行く価値があるかという考えも出てくる。
でも、学士になることは中流層になるための必要条件(十分条件では決してない)。
日本でも、韓国でも、学士どころか博士になっても、いい就職に就けなくなりつつある。
皆のレベルが上がって供給が増えても、条件のいい仕事の需要が少なければそれまで。
新自由主義の隆盛のなかで、割りの悪い仕事(crap job)だけが増えている。
最後に、この著者は民主党寄りで、学生は行動を起こさねば悪状況は変わらないと感じている。
2006年ころの著書なので、大統領選挙も意識しただろう。