『自虐の様で自虐じゃない、微妙な本』
「私ってこんなダメ人間で、大借金こさえちゃうの?。こんな私を笑ってやって。あたしってお笑いのサービス精神満載でしょ??」と言っているように見える。つまりは自虐ね。
でも、自虐して笑いを取るって、実は相手よりも上じゃないと出来ないハイレベル技ってご存知よね。余裕が無いと出来ないのよ。
それか、世に出る芸としてのネタ切れで借金や美容整形をリアリティに体験する事で、皆が似たような着物とか浪費とか美容を書く他の女流エッセイストの世界で一線を画そうとしているのだと思うわ。
それか、「どこそこの何がし商品」ってエッセイの中で書く事で、あらかじめエッセイの為に用意された商品を宣伝してるって感じがしないでもないし。
本当にどん底でダメな貧困人間だったら、人に笑われたくないとばかりに見栄を張りまくる人が多いんです。
恐らく、自分を落として他人の笑いを取ろうとするなんて絶対にできないし、本すら書けないと思います。
その狭い社会の中で、お互いのあら探しをし合い、上げ足を取り合い、相手の弱みと見做した物事を見つけたら、すかさず相手の弱みや過失を鬼の首取ったかのように指摘し合う。
そして、自分の道連れを作ろうとするんです、つまり陳腐な友情や絆と言う言葉を出汁に、自分と同じ様に借金を雪だるま式に作らせようと試みたり、気弱な人に連帯保証人になる様に申し出る。
関西でも岡山でもその様な人をよく目にしました。
中村氏は、育った環境も恵まれていて、申し分はないと思うのですが、矢張り女子高時代とか大学時代に自分よりも遥かに恵まれた人を見てそれにコンプレックスを抱いている事を解消していないんだろうかと思いました。
他人の見栄張ってる姿から、ある意味その人個人の誰にも触れられたくない弱い部分が見える事もあるんですよね。
買い物依存症は自分のコンプレックスが解消できない為に起こる症状です。
もし本当に恵まれたこの人がブランド物の買い物依存症なら、上流な物事へのコンプレックスなのだと思うわ。満たされない欲望を解決するには自分自身の心の中と向き合うことです。
他人の借金と向き合い背筋を凍らせた経験のある人間がこの本を読むと笑えません。
私は次元の低い女社会独特の見栄の張り合いを見たお陰でブランド物に興味のない地鶏の様外見と地味な性格になりました。(*^_^*)姫野カオルコ著「整形美人」と一緒にどうぞ。