多額の借金を抱え、返済に困り自殺する。そんな悲劇が繰り返されている。自殺者は毎年3万人以上に上るという。そして、自己破産者も急増している。決して他人事ではない。住宅ローンやリストラで苦しんでいるサラリーマンも少なくないはずだ。 だが、自殺も自己破産も絶対にしてはいけない、無策の政府やあくどい銀行の犠牲になってはいけないと著者は説く。私塾「お金の学校」を主宰し、過重債務者を救い続けている著者が、バブル崩壊で借金を抱えた建設業者やノルマ達成のため借金地獄に陥った生保課長、価格競争に負け多額の負債を抱えたファーストフード・オーナーなど8ケースを取り上げ、合法的な借金脱出方法を紹介しているのが本書だ。1億2000万円の借金が50万円でチャラになったといわれれば本当かと疑いたくなるが、そこには違法行為もウソもない。 では、多額の借金を抱えた場合、どうすればいいのか。借金返済のための借金はしない、とくにサラ金には手を出さない、踏み倒さずに返済できる金額を誠実に返していく、銀行の“騙しの口上”には乗らないなど、復活のためのセオリーが繰り返し述べられている。そのセオリーを守っていけば、滌除(てきじょ)、無剰余の競売、利息制限法、負担付贈与、債権回収会社(サービサー)との交渉など、ケースに応じた手法によって借金から脱出する道が開けてくる。大切なのは勇気と知恵を持つことだと本書は教えてくれる。(清水英孝)
次へ